やっぱり基本が重要: 人材開発のKnowing Doing Gap

Knowing Doing Gapとは、頭で理解していることと、実際に実行できることは別物であるという意味の言葉です。日常的に実行できる状態を実現するには練習のための時間をとって、習熟や習慣化することが不可欠です。

大好きだけど、本当は自分のためにならないからやめるべきだ、少なくとも控えるべきだと頭では十分にわかっているものを1つ思い浮かべてください。お酒?タバコ?スイーツ?オンライン・ゲーム?YouTube?携帯を見続けること?インターネットショッピング?韓流ドラマ?

では、以下のとおりに実行してください。

今日、この瞬間からきっぱりとやめてください。または、一気に適正なレベルに減らしてください。できますよね?あなたはもう、頭で理解しているのですから。

できませんか?おかしいですね?理解しているのに、実行できないとは不思議です。

この状態が人材開発の分野で良く知られるKnowing Doing Gapだと、既にお気づきの方もいらっしゃるでしょう。Knowing Doing Gapとは、頭で理解していることと、実際に実行できることは別物であるという意味の言葉です。

「いや~自分が思い浮かべた問題は、そんなに深刻じゃないから、いまいち本気になれないだけさ。重要なことだったら本気になるに決まっているじゃないか」と思っている方はいますか?

ではこんなデータはどうでしょう?
生活習慣を改めることが命に係わる病気なのに、冠動脈のバイパス手術を受けた患者の90%が2年以内に以前の生活習慣に戻る。(ジョンズ・ホプキンス大学)

あるいは会社のために皆がオープンなコミュニケーションをして、自由なアイデアを出し合い、イノベーションを起こそうと全社で合意したら、翌日から皆が急にオープンになったなんて話、聞いたことはありますか?あまり聞きませんね。

自分の命や会社の命運がかかっているときですら、人間は習慣化した行動を変化させることが苦手なのです。これが人材開発で実践の重要性が繰り返し叫ばれるゆえんです。

これが意味するのは、リーダーシップやマネジメントやイノベーションの研修で、「感情的にならずに、穏やかに部下の意見を聞く」とか「自分のやり方にこだわるのをやめて、殻の外に飛び出す」重要性を頭で理解しても、それだけでは実践される可能性が低いということです。

外国語の学習にたとえるなら、以下の1をやっても2が自動的についてくるわけではないということです。
1.外国語の単語と文法を学習して理解する。(頭で理解する)
2.話す練習を通じて、日常的に使いこなす。(実行できる)

日常的に実行できる状態を実現するには練習のための時間をとって、習熟や習慣化することが不可欠です。習慣とはすなわち、考えなくても常にその行動を実行する状態になっていることです。

実際の人材開発の現場では時間の制約もありますから現実的な対応が不可欠ですが、極端に2を無視すると、1のために費やした労力が無に帰してしまうので、忘れるわけにはいきません。

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