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日本と海外における人材開発や研修の違い 3.戦略的人事と研修目的の関係

社員になぜ学習が必要なのかと、あえて問いかけてみる

研修の目的は何かと言えば、企業風土を変えるとか、戦略や会計、最新技術など業務に直結した最新情報を得るとか、管理職になったのでマネジメントを学ぶとか、いろいろな言い方ありますが、要は、学習するため、能力を高めるためです。その点は洋の東西を問わず同じはずですが、「ではなぜ学習が必要なのか」と踏み込んでみると、日本と海外の違いが感じられます。

日本の事情

日本で比較的多いのは、管理職になったから、なくてはならぬマネジメント知識を身につけようとか、管理者としてリーダーシップに問題があるから、リーダーシップ研修を受けてもらう、という研修です。例えていうなら現在の役割やポジションで確実に機能できるよう、不足している能力を補う。つまり基準値にそろえる、一律の研修ということになります。その結果、時として受講者が、自分に不足しているところがあるから受講しなくてはならないと考え、極端な場合、前向きな気持ちで受講する理由が思い当たらない場合があります。また、役職が高くなればなるほど優秀な人が増えて、その役割を果たすうえで能力が不足している人は少なくなって、研修を受ける機会が減少します。

日本でよくある入社年次別の一律の研修は、基準値を満たすための必須教養を全員に受けさせているようなところがありますから、新卒を一斉に採用する雇用習慣が前提となっていた社会では、合理的に思えます。

海外で行われる課題解決型の研修

一方、海外では、ビジネス環境に応じて、課題解決的に実施される研修が相当数あります。たとえば、会社が合併したから合併をスムーズに行い、効果を最大化したいとか、競争の激化に伴って意思決定をこれまでよりスピーディにしたいなど、目下のビジネスの戦略目標を成功させるうえでの課題が先にあって、それを受けて何を学ぶべきかが決まります。戦略目標を成功させるため、競合に先んじて勝つために、何ができればいいのかという観点での研修です。この場合、研修の位置づけは一律の基準値をクリアすることではありません。会社の経営目標達成を推進することです。(もちろん基準値にそろえるための研修がないわけではありません。)

これまでは無くても問題はなかったけれど、これからの競争に勝つための能力を獲得しようという、競争優位性を獲得するための攻めの研修です。会社の重点戦略につながっていますので、組織のトップから順に研修に参加して、次第に階層が下がってくるのが一般的です。弊社が関係する研修ならば、合併から最大効果を得るために文化や考え方の違いから相乗効果が得られるコミュニケーション法を学ぶとか、グローバル競争に勝つためにグローバルなリーダーシップのあり方を学ぶとか、研ぎ澄まされた意思決定をよりスピーディに行うために、新しい思考法を学んだりすることになります。

戦略的に重要な研修なら、トップも目の色が違う

筆者が知る限り、トップやエグゼクティブは誰よりも熱心に研修に参加しますし、欠席する人もほとんどいません。つまり重要事項として、時間を確保しているということです。弊社の知人であるコンサルタントは、努めていた外資系企業では、階層が上がれば上がるほど研修が増えて大変だったと言いますが、この言葉は程度の差こそあれ、真実をとらえています。

研修を競争優位を獲得する手段だと位置づけるなら、人事部は経営と同じ目線からビジネスの環境を見て、研修を選別する必要があります。これは近年日本でもクローズアップされている、戦略的人事の重要な一面です。戦略的人事では、人事の役割が”HRビジネスパートナー”と呼ばれます。人事の専門知識を武器にしてビジネスの目標達成を支援するパートナーだというわけです。戦略的人事が定着しているから研修のあり方が戦略的なのか、その逆なのかはニワトリと卵のようなお話で、それほど両者は不可分です。