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結果だけではない。本心を上手に話して得られるもの 友人の体験談3

前号に続けて、コミュニケーションの研修を通じて出あった、アメリカ人の知人の体験談を彼女の言葉でご紹介します。

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言うべき時に言うべきことを口に出し、人間関係を壊すどころか、強めることすらできるダイアローグというコミュニケーションの方法が研修コースになっていると知って以来、夫と私はそれを子育てに生かそうと決めました。

娘が大学1年生だった時のことです。電話がかかってきました。『お母さん、エリカ(仮名)が、私が酔っ払って大声で騒いで、キャンパスの花壇のお花の上を転げ回っているのを見たって、みんなに言いふらしているの。親友のキャロル(仮名)が、エリカからそう聞いたって言うのよ』。娘が摂食障害と戦っていると知らなければ、おそらく娘に『本当はあなたがやったんでしょう?』と問い詰めたでしょうが、その時は、娘の話は真実だろうと思いました。それでどうするつもりかと尋ねると、エリカと話をしてみるというのです。娘はエリカという友人に電話をし、これまで教えられてきたダイアローグのやり方で話し始めました。状況を伝えたところで、『そうなの?』と尋ねると、エリカが『え~私、あなたにひどいこと、しちゃった!』と、認めました。娘が、『それで、これからどうする?』と続けます。すると『全員に電話して、私の勘違いだったって言うわ』とエリカ。『でもエリカが皆に電話したかどうか、私はどうやったらわかるの?』『あなたに電話してねって、皆に頼むわ』。

その晩、娘にたくさんの電話がかかってきました。「あなたがそんなことするわけないのに、噂を信じてしまってごめんなさい」と、謝ってくれたそうです。

娘は昨年、大学を卒業しました。インターンとしてしばらく働いていましたが、終了後、その会社からぜひ正社員で働いて欲しいとオファーを受けました。さらに数か月後、重要なイベントの運営委員会に選ばれました。その人選は希望者が多くて競争率が高かったのですが、会社は、どんなに難しい場面でも上手にコミュニケーションできる、相手に責任感ある行動を取らせる、影響力がある、と、娘を高く買ってくれたのです。最近の電話では、『同僚にいじめられて悩んでいる仲間がいたので、話し方を教えてあげた。同僚がいじめの相手と話してみたら、すっかり問題が解決して、人間関係がすごく良くなった』と喜んでいました。

いつだったか娘が、自分をひどく侮辱し、傷つけた人のことを『許したの。傷ついた思いは残ったままだけど。傷ついている人は、他の人を傷つける時があると思うのよ』と話していました。『なんでビルはあんな人だったと思う?』と娘に問いかけられて話しているうちに、ビルは不幸な家庭で育った人だったと思い至りました。そのときふと、以前の会社のカウンセラーに電話をしようと思いたちました。電話に出たカウンセラーは、『ずっと話したいと思っていたんだ。あのとき君の上司に電話したのは、君を助けようと思ったからなんだ。少しでも話がスムーズになればと思ったのに、彼があんなひどいことをするなんて…本当に悪かった…』。カウンセラーに会いにいった日から、12年。私を助けようと思ってくれたなんて、考えたことがありませんでした。

ビジネスの場でのダイアローグは結果を出すためのもの。でもダイアローグはそれ以外の素晴らしい贈り物を運んできてくれます。相手を心から許そうと思えること。ビルは普通の人だったと思えるようになること。憎むのをやめたことで、自分も荷が下りたこと。

ぜひこれからもダイアローグの方法を次の世代に伝えていってくださいね。次の世代はきっと、さらに次の世代に引き継いでいってくれるはずです』。

ダイアローグ研修の説明はこちらからご覧いただけます。