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女性は注意すると感情的になるし、向上心がない・・・?

他者のフィードバックを受け入れるのはどんな人か

女性の部下は感情的だとか、チャレンジして上を目指そうとしないなどの論調は今も根強く残っています。本当にそうなのでしょうか?

手元に提携先のゼンガー・フォークマン社が実施した調査結果があります。この調査はそもそも、自分の成長にとって注意やフィードバックを受け入れることが極めて重要であるにも関わらず、フィードバックされたとき、自分には能力があり問題はないことを“証明”すべく防御的に反発する人と、“成長”すべく自然に受け入れる人がいるのはなぜかを知るためのものでした。(調査の詳細はこちらからお問合せください。)

ここでの“証明する”または“成長する”マインドは、スタンフォード大学のキャロル・ドウェック心理学教授が、『一部の人々は能力を“固定的”なものと考え、別の人々は “可変的”だと考えている』と指摘したものと、ほぼ同じです。

成長するマインドを持つ人は、努力や学習を通して能力は高まり、自分がさらに成長すると考えます。他方、証明するマインドの人は、能力は持って生まれた才能や性質で既定されていて、変化しないと考えます。前者は失敗しても、自分の能力が足りなかったのだとは考えませんから、チャレンジやフィードバックを恐れません。後者は能力が足りないことが失敗の原因だと考えますから、チャレンジやフィードバックを恐れて、簡単で失敗の可能性がない活動を選ぶ傾向があります。

ゼンガー・フォークマン社は7000人のビジネスマンにいくつかの質問をして、証明するマインドの人、成長するマインドの人、どちらとも言えない人の3群に分類しました。そしてその傾向と強く相関する因子を発見しました。それらは、年齢、自信、性別、の3つです。

年齢

下のグラフのとおり、年齢が高くなるほど成長するマインドを持つ人が増加します。年齢とともに自己を認識する力が高まることと、次のテーマである自信が関係しているのかもしれません。

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自信

フィードバックに反発する人が、その理由として「私は何も悪くない。私は自信がある」と主張することがあります。しかし調査結果はむしろ、「フィードバックに反発する人は、自信が無い」のだと示しています。(これはあくまで統計による一般的傾向の話です。「自信があって、フィードバックに反発する」人は、もちろんいますし、自信過剰がもたらす多くの問題は、これまでさまざまな研究で取り上げられてきました。)

下のグラフのマイナスの数字は証明するマインド、プラスは成長するマインドを示しています。証明/成長するマインドと自信の強さは強い相関を示しています。例外はあるとしても一般的には自信がある人ほど成長するマインドが強いのです。

余談ながら、自信が無い人の中には、インポスター・シンドロームと呼ばれる症状に苦しむ人もいます。自分の能力に常に不安を感じ、能力不足が発覚したら大変なことになると怯えているのです。

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性別

この記事の本題ですが、女性の方が男性より、証明するマインドの人が多いことも、先のグラフから明らかになりました。とくにキャリアの早期にはその傾向が強くなっています。証明・成長するマインドと自信の有無が強く相関することから、これにはいくつかの原因が考えられます。まず、社会環境的に女性が自信を持つことが推奨されず、自信を持たせるような働きかけが行われないことです。逆に男性は自信を持つように強く推奨されます。二点目に、働く女性の多くは、カリフォルニア州の法学部教授ジョアン C. ウィリアムズが指摘する通り、常に「女性でもできるのか?」という疑いの目を向けられていることです。

幸い、女性たちも年齢とともに成長するマインドにシフトしていきますし、前述のグラフの通り、シフトの度合いは男性よりも大きいのです。若い男性よりは高齢の男性のほうが成長するマインドの人の割合は多いのですが、60歳の男女で比較すると、成長するマインドを持つ人は。女性の方が多くなります。

成長するマインドへのシフト

社会科学の膨大な調査から、考え方を変えさせるためには、「考え」そのものでなく、「行動」に働きかける方が効果的であることがわかっています。“成長するマインド”へのシフトは、まさに考え方の変化が必要なテーマであり、周囲や本人が変えよう思うだけではうまくいかないものです。長くリーダーシップ開発に携わってきたゼンガー・フォークマン社が勧めるのは、周囲の人にフィードバックを求めることです。最初はささやかなフィードバックで十分です。徐々に回数を増やしていけばいいのです。皆のフィードバックが役にたつという実感が得られれば、自然とさらにフィードバックが欲しくなるからです。

上司として、自分の部下に成長するマインドにシフトしてもらいたいと思う場合は、フィードバックの与え方に注意が必要です。生まれつきの能力や知性を褒めるのではなく、努力や辛抱さを褒めるようにします。たとえば「あのレポートでは本当によく頑張ってくれた。おかげでいい結果が出たよ」という具合です。このようにフォードバックすると、成長するマインドへのシフトと同時に、部下の心に自信が生まれます。それによってさらにフィードバックを受け止める素地ができていきます。

成長が無ければ、キャリアの成功は果たせない。成長の意欲がなければ成長はあり得ない。それには自分の能力を証明しようとするマインドに気づいて、成長するマインドへと切り替える必要があります。