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リーダーのセルフ・アウェアネス(自覚)

セルフ・アウェアネスについての近年の発見

スタンフォードのビジネススクールがあるとき、外部委員から成る大学のアドバイザリーカウンシルに「MBAの学生が学ぶべき、最も大切なことは何か」と聞いたところ、「セルフ・アウェアネス(自覚・自分認識)」いう答えが返ってきたそうです。つまり、自分の能力や欠点、本当の考えや気持ちを理解して、意識して行動していることが大切だというわけです。

自覚の重要さに関しては、直近の20年に多くの研究が行われました。研究者の調査では自己イメージと他者による自分のイメージが近いほど、幸福感と適応度が高いことがわかっています。コーンフェリー社は自覚しているトップが多い企業ほど業績が高いという調査結果を発表しています。

自分なりに意識していれば十分なのだろうか?

でも、自覚していればそれでよい、ということになるのでしょうか。リーダーシップ開発で数々の賞を受賞している弊社提携先のゼンガー・フォークマン社は、同社の360度調査に参加したグローバルなリーダーやマネジャー69千人とその評価者75万人のデータを分析して、ハーバード・ビジネス・レビューで報告しました。すると予想通り、自分の自己イメージは他者によるイメージとかなりずれていました。「ずれ」と言っても、「自己評価が他者評価より高い」場合と、「自己評価が他者評価より低い」場合の二通りが存在します。どちらも自分の能力や周囲からどう見られているかについて、自己認知が足りないと言えます。ではズレを修正すれば、この人たちはより良いリーダーシップを発揮するようになるのでしょうか。

実はそうとも限りません。データを良く見ると、リーダーや管理者として、普段から優れたリーダーシップを発揮していると周囲から見られている人ほど、自己評価が他者評価より低かったのです。これは、謙虚さ、自分に課す基準の高さ、向上心の強さなどが原因になっているものと考えられます。

優秀なリーダーは自己評価が低い

そこで切り口を変えて、「自己評価が他者評価より高い」ズレのみに的を絞ってみます。そして総合的なリーダーシップの良し悪しと、自己評価が他者評価より高かった項目の数の関係を調べてみました。するとリーダーシップのスコアが高いリーダーや管理者ほど、ズレが少ない傾向がはっきりと表れました。具体的には、16の測定項目について、自己評価が他者評価より高い項目がなかった人々は、リーダーシップの数値が約70tile(上位30%)だったのに対して、6つの人々は50tile(平均)、16個全ての人は平均をはるかに下回る30tile強(下位30%)でした。「自己評価が他者評価より高い」ズレがない人々は、たくさん有する人に比べて、圧倒的に優れたリーダーシップがあると言う結果です。

もちろん、「自己評価が他者評価より低い」のは良いことばかりではありません。中には、自分を良く見せるために多くのエネルギーを費やしているリーダーや管理者もいるでしょう。一方で、大きな目標があってどんなチャレンジもいとわない人もいるはずです。

調査からはっきりしたのは、自己評価が高すぎる場合には、重大な欠点が隠れている可能性が高いということです。同時にどれほど優秀な人にも、さらに能力を高める余地があることを、心に留めて置きたいものです。

ハーバード・ビジネス・レビュー掲載論文の原文をこちらでご覧いただけます。(英語)

ゼンガー・フォークマン社のリーダーシップ開発コースの詳細をこちらでご覧いただけます。