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認知の盲点ー100%を追う無意味さ

「教わった通りにやれば、必ず結果が出るのですか?」

研修であれこれと重要なコンセプトの説明を終えるころに、ごくまれに出てくる質問があります。たとえば、弊社には「精密な質問と回答」という、重大なヌケモレや誤った前提を見つけ出し、排除する思考法の研修がありますので、その研修の場合ですと、「でも、それを全部やったとしても、やはり見落とすことがありますよね?だとすれば、見落としは排除できないではありませんか」というわけです。あるいは、「飛びぬけたリーダー」というパフォーマンス向上との相関関係が証明されているリーダーシップ研修ですと、「でも、それをやっても、必ず業績が上がるわけではないですよね?」となります。

質問の趣旨を聞いてみると、「こういうときは、こうすればよいと教えるからには、100%その通りに結果が達成されるべきだ。そうでないなら、やってみる価値はない」と質問者が確信しているときがあります。

結果が100%でなくても、やるべき時がある

質問者が言う通り、プログラムの教えるとおりにやっても、うまくいかないことがあります。ではプログラムは無意味かというと、もちろんそうではありません。そのような議論は、いささか近視眼すぎるといえます。

たとえば、喫煙をとって考えてみます。家族が喫煙することによる受動喫煙の肺がんリスクが非常に高いことをご存知の方は多いはずです。だからといって受動喫煙すれば、100%肺がんになるというわけではありません。遺伝的体質や生活習慣、環境汚染など多くの因子が関係しているからです。

では、受動喫煙しても100%肺がんになるわけではないから、幼児のいる狭い部屋で好きなだけ喫煙するかと言えば、たいていの人は無条件に喫煙を控えます。100%でないなら、喫煙を控えることなど無意味だという主張の方が、無意味です。100%ではなくても、発がんリスクにつながる要因を可能な限り取り除くことに価値があるわけです。それと同時に生活習慣等にも注意して、他のリスク要因も排除しようとするはずです。

重要なこと

ここでのポイントは「0か1か。1でないならば0でいい」という二者択一ではなく、「少しでも1に近づく」という点にあります。0のままでいるよりも、はるかにマシだからです。もちろん、0が0.1になるのか0.8になるのかの違いは大問題ですから、より効果の大きな方法を選ぶほうがいいに決まっています。

冒頭の質問者の問いは「木を見て森を見ず」そのものですが、このように、目先の出来事にとらわれて全体像を見落としてしまう傾向は、人間の思考の落とし穴として知られる代表的なものの一つなのです。誰にでもある、そんな思考の盲点をうまく探し出す手法が、前述の「精密な質問と回答」プログラムというわけです。